各地域の文化が見直される中で、地元に伝わる食についての文化が 見直されることも多くなっています。

そんな中、群馬県太田市ではなんと江戸時代の「焼き餅」を再現するという会が 2月22日に開かれました。 この「焼き餅」は江戸時代の「天明の大飢饉」の際に、飢えをしのぐために考え出された レシピだったそうです。

「天明の大飢饉」は1770年代からの農作物減少に加えて、1783年に岩木山、浅間山が 相次いで噴火したことによって引き起こされた飢饉で、火山灰による直接的な被害のほか 日射量の低下による冷害をもたらしました。

さらに、吾妻川になだれこんだ火山泥流が下流の利根川流域にも流れ込み 農作物に壊滅的な被害を与えたそうです。

太田市高林地区の伝承によると、大凶作の中わずかに残ったコメや雑穀を粉にして 餅を作り、中に菜っ葉を入れて焼き餅にして、流れてきた不動尊像に供えた後 分け合って飢えをしのいだということです。

その際特に栄養が必要な妊婦に食べさせたことから、1月と8月の不動尊の祭りに 焼餅を作り、安産祈願で食べる風習が伝わったようです。

その後、太田市高林地区では1983年の「あかぎ国体」をきっかけに 地域に伝わる食文化を見直す動きが起き、先人の知恵が詰まった焼き餅づくりが注目され 以来、方策と健康を祈る祈年祭に合わせて太田市内の3町合同で「焼き餅会」が開催されています。

こうした文化の見直しは、地域の人々の交流にも一役買ってくれるという側面も あるでしょうから、今こそ必要なのかもしれませんね。


 執筆：街コミNAVI編集部