季節が巡る中、その時期を彩る伝統工芸品の生産が各地で行われています。岐阜県では、お盆を彩る「岐阜提灯」の製作が最盛期を迎えています。

岐阜提灯は岐阜市特産の提灯で、細い骨に美濃和紙などの薄紙を張り、美しい模様を施した長卵形の吊提灯です。盆灯籠にも使われるため、盆提灯とも呼ばれるそうです。 年間5万～6万個を生産する明治時代創業の老舗「オゼキ」では、職人たちが一つ一つ丁寧に和紙を貼り付けたり、顔料を使って秋の七草や菊の花を描いたりしています。

岐阜提灯の製作は基本手作業で、「張り」＝細骨に薄紙を張る、「擦り込み」＝薄紙に模様を版画の要領で摺る、「盛り上げ」＝提灯の木地の部分に白胡粉で盛り上がった模様を施す、などがあります。

近年はインテリアなどとしても用いられ、小ぶりのものが人気だそうです。

多くは全国の百貨店、仏壇店などに出荷され、絵付けを担当する伝統工芸士の方は「コロナの影響で家族と室内で過ごす時間が増える中、先祖との絆を感じながら使ってもらえたら」と話しています。

今年は各地で納涼イベントや花火大会などが開催中止となる中、お盆の行事も規模が縮小されることも多いようです。中々人混みに出かけることを心配される方も多いでしょう。

今年はこういった伝統工芸品の提灯の優しい光を掲げ、身近な人たちと穏やかな時間を過ごすのも良いかもしれません。

優しい灯りは、見慣れた家の中の景色も、きっと美しく彩ってくれることでしょう。

（2020年6月29日に書かれたコラムです）


 執筆：街コミNAVI編集部