足尾山地といえば銅で有名ですが、その鉱石の製錬工場からの煙が大気汚染を引き起こしていたことでも知られています。いわゆる足尾鉱毒事件は、19世紀末の日本で今でいう「公害」の概念を知らしめる悲惨な出来事でした。

さて、この事件を群馬県太田市の太田市学習文化センターにおいて展示しているのをご存知でしょうか。 もともとあった展示ですが、このたび2月上旬、足尾銅山周辺の山々の荒廃を知らせる1971年の航空写真などのパネルを追加するなど、その内容のリニューアルが行われました。

被害の実態や現状がわかりやすく見てとれるように、との目的でリニューアルされた同センターの展示。地元で起きた悪しき歴史を伝えるのも、やはり教育の務めです。

スラグ（鉱滓、鉱石から金属を分離したもの）などを捨てた堆積場の管理に関しては未だに議論のあるところですし、これからの世代に引き継いで伝える必要があります。

このため、ボランティアガイドの業務委託を受ける渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会も協力して、説明しやすいパネルづくりを心掛けたとのことです。

資料室はそもそも、この同盟会の活動を伝えるために2015年5月にオープンしていました。月曜日は休室ですが、火、木、土、日はボランティアによるガイドがさらにわかりやすく説明してくれます。 再び同じ過ちを繰り返さないために、そしてその脅威を忘れないために、こうした展示がリニューアルされ続けることを望みます。


 執筆：街コミNAVI編集部