大阪を流れる淀川に生息し、天然記念物にしていされている魚「イタセンパラ」 国内では大阪・淀川を含む3つのエリアで生息をしていますが 外来魚の影響などで淀川では絶滅に近い状態まで追い込まれています。 大阪の淀川は、生物多様性が極めて高い事で知られています。 そこに生息するコイ科タナゴ亜科のイタセンパラは、そのシンボルフィッシュとされているんですね。

淀川では、かつて城北ワンド群（河川敷の小さな池）を中心に広く分布していましたが 河川改修や、河川の撹乱の減少、外来種の増加などにより 個体数や生息域がいちじるしく減少しました。

平成18年以降には、大阪・淀川において生息が確認されず 自然状態で個体群が回復する可能性が極めて低い状態となっていました。

その一方で、水生生物センターでは、天然記念物指定以前の昭和46年から 大阪・淀川産のイタセンパラを累代飼育し、系統保存を行ってきたそうです。

平成21年秋には、雄雌それぞれ250個体、合計500個体を淀川へ放流したところ 翌年には稚魚133個体の生息が確認されました。

しかしこれは、イタセンパラの野生復帰第一歩となったものと考えられているだけで この状態を維持することは問題が多く、まだ難しいとされています。

稚魚の数が少なかった原因については、冠水状況や気象条件などの物理環境 また産卵床の二枚貝類や他稚魚の生息状況などの生物環境が複合的に関係している事が考えられます。

これからも大阪・淀川のシンボルとしてイタセンパラを守るために 環境農林水産総合研究所では、地域住民にも川をきれいに保つことを呼び掛けているそうです。


 執筆：街コミNAVI編集部