イオン北海道は、2024年問題であるトラック運転手の不足に対処するため、海上輸送への置き換えを試みる実証実験を開始しました。この実験は、釧路市および栗林商船との連携により行われ、RORO船（フェリー型貨物船）を使用します。

具体的には、道央圏配送センター（北広島市）から苫小牧港までトレーラーで商品を輸送し、その後、シャシー（牽引される荷台部分）を船に積んで苫小牧港を出発、翌朝釧路港に到着させます。そこから商品はイオン釧路店およびイオン釧路昭和店に輸送されます。 この実証実験は、5月23日に道央圏配送センターから苫小牧港への輸送を開始し、24日の午前8時には釧路港に到着する予定です。

シャシー1台分の生活雑貨や衣料品を運ぶ計画であり、これにより、労働規制強化によるトラック運転手不足の影響を回避する狙いがあります。今回の実験は、イオン北海道にとって初の試みであり、物流の安定化とコスト削減の両面で効果が期待されています。

労働力不足解消だけでなく期待できること

この実証実験は、単なる労働力不足の対策としてだけでなく、将来的な持続可能な物流システムへの移行を模索する重要な一歩とも言えます。海上輸送の利用は、陸上輸送に比べて二酸化炭素排出量が少ないため、環境負荷の軽減にも寄与します。

また、物流の多様化は、災害時のリスク分散にもつながります。日本は自然災害が多い国であり、輸送ルートの多様化は物流のレジリエンスを高める上で不可欠です。

地域経済の活性化にも期待

さらに、この取り組みは地域経済の活性化にも寄与する可能性があります。例えば、港湾施設や周辺地域のインフラ整備が進むことで、新たな雇用が生まれる可能性があります。地方都市の振興に寄与するこうした取り組みは、地方創生の観点からも評価されるべきです。

もちろんコスト削減にも期待

物流の効率化とコスト削減は消費者にとっても大きなメリットです。安定した供給と価格の抑制は、消費者の生活の質を向上させるでしょう。イオン北海道のこの挑戦は、他の企業や業界にも波及効果をもたらし、全体として日本の物流システムの革新につながることを期待しています。


 執筆：街コミNAVI編集部