（2018年10月30日に書かれたコラムです）

古き良き東京の面影を残す東京の名所と言えば「皇居外苑」。

東京都千代田区になり、黒松の点在する大芝生広場と江戸城の佇まいを残す濠、城門などの歴史的建造物が調和し、日本を代表する公園として知られています。

そんな皇居外苑が12月にライトアップされることになりました。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け皇居周辺の観光への活用を求める政治の声を受け、環境省が工事を進めていたそうです。

具体的には、堀の石垣や橋を投光器で浮かび上がらせたり、園路沿いの柵にLED照明をつけたりするとのことです。

ライトアップされるのは外苑や日比谷堀などの35ヘクタール。設備は11月末に完成し、12月に試験点灯されます。皇居周辺の豊かな生態系に配慮し、ヘイケボタルなどの生息域は暗さを保つといった対応も行われます。

環境省の検討会が2016年に「灯籠のわずかな光など、日本の伝統的な夜間の美意識を参考にする」との基本計画を決め、日本の照明デザイナーの草分けとして知られる石井幹子さんに全体像作りを委託していました。

皇居外苑は年間400万人を集める東京でも随一の観光名所ですが、夜訪れる人は少なかったと言います。

「皇居の前庭という特殊性に相応しい美観と静穏を保ち、広く国民の散策、観光に供する」とされ、街灯がほとんどなかったためと言われています。2010年頃、自民党などから「東京駅はイルミネーションできれいで、反対の皇居側を見たら真っ暗」という声が出ており、2012年には宮内庁が管理する二重橋などで年末年始のライトアップが始まりました。

昨年末には環境省が初めて桜田門を試験点灯。今回の工事で全体が完成する予定です。

確かに東京駅周辺の明るさとは裏腹に皇居周辺の暗さは気になるところ。東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、国内外からの観光客へのアピールを始めるという意味でも、今回のライトアップはいいキッカケになるのではないでしょうか。


 執筆：街コミNAVI編集部