（2018年7月31日に書かれたコラムです）

2020年の開催に向け盛り上がりつつある（？）東京五輪。7月22日に、大会マスコットの名称が「ミライトワ（オリンピック）」「ソメイテイ（パラリンピック）」に決まり話題となっています。

ですがそのマスコットをデザインしたのが、福岡県博多市のイラストレーターということをご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。 博多市に在住のイラストレーター谷口亮さんのデザインが、今回見事公式マスコットに選ばれ、賞金100万円を獲得しました。

谷口さんはこれまで博多に住みイラストの仕事を20年続けていましたが、マスコットを公募する様々な企業に作品を送ったものの、1度も通ったことがなかったそうです。

イラストデザインの仕事は東京が中心。地方都市である博多を拠点とする中では、公募のコンペなどを勝ち抜かない限り、大きな仕事を掴むことは難しかったそうです。さらに福岡県内・博多で行われるキャラクター系のイベントや大きなコマーシャルでも東京のイラストレーターが描いたデザインが使われており、地元・博多を愛する谷口さんとしては悔しい思いをしていたと言います。

そんな谷口さんの20年に渡る思いが報われたのは今年2月のこと。東京五輪のマスコットの最終選考で、全国の小学生20万人のうち、なんと半数以上の票を獲得。博多の無名のイラストレーターが「シンデレラおじさん」になりました。

そして谷口さんは2020年に向けて、次の一歩を踏み出しています。それは伝統工芸「博多人形」。谷口さんは「できればマスコットを博多人形でグッズとして出したいと考えています。博多の伝統・日本の伝統を世界に紹介できるし、博多のことも知ってもらえる」。

シンデレラおじさんとして名を馳せただけではなく、地元・博多を世界に知ってもらうため、更に試行錯誤する谷口さん。まさにクリエイターの鑑ではないでしょうか。


 執筆：街コミNAVI編集部