激辛ブームが到来して久しいですが…辛い料理に欠かせないのは「唐辛子」。唐辛子の産地でもある岐阜県での呼び名は、県内でも様々だそうです。

辞典の通り「唐辛子」と呼ぶ人もいれば、「コショウ」「南蛮」と呼ぶ人もいるそうで、同じ岐阜県内でも通じ合わないこともあるそうです。

実は複数の呼び名が使われているのは全国的に珍しいそうで、岐阜県内のピリ辛文化の一面をのぞいてみたいと思います。 例えば「徳山唐辛子」はダムの底に沈んだ徳山村で作付けされていた唐辛子で、現在は本巣市に引き継がれて栽培されています。生産農家によると「昔から唐辛子は唐辛子。徳山村では実のままだと唐辛子、唐辛子を加えた漬物は南蛮漬け」と呼んでいたと話しています。

「各務原キムチ」で知られる各務原市では、キムチに唐辛子は欠かせませんが、それは「赤唐辛子」と呼んでいるそうです。

岐阜県の伝統野菜でもある唐辛子「あじめこしょう」の栽培が盛んな中津川市では、「唐辛子はカラゴショウ、ピーマンはアマゴショウ」だそうです。ではラーメンに振りかけるペッパーは「コショウはコショウ」なんだとか。

唐辛子を「南蛮」と呼ぶのは飛騨地域。南蛮と言えば唐辛子だそうで、鴨南蛮やチキン南蛮とは区別されており、「焼きナンバン」という名物料理は唐辛子の完熟前の緑の実を焼き、鰹節と醤油をかけて食べるものだそうです。

専門家によると東北から北陸では南蛮、九州と岐阜、長野辺りではコショウの呼び名が見られるそうで、岐阜県のように県内で三つの呼び名が使われている件は全国的にも珍しいそうです。岐阜県が地理的に日本の中心に位置することが原因かとも見られますが、本当のところは分からないようです。

何にせよこれから実りの季節を迎える「唐辛子」。岐阜県でも各地で生産され、食卓を彩っていくことでしょう。旬の唐辛子をタップリいただいて、汗をかきつつ夏バテ知らずの身体を目指していきたいものです。

（2020年5月31日に書かれたコラムです）


 執筆：街コミNAVI編集部