日本には様々な季節の風物詩がありますよね。

全国共通で誰もが季節を感じるような風物詩もあれば、特定の地域でだけ見ることのできる光景や物などもあります。作物や工芸品の生産ピークや出荷ピークなどを、季節や時期を感じる風物詩としてとらえることも多いですが、奈良県生駒市では、今年も冬の風物詩「竹の寒干し」という作業がピークを迎えています。 生駒市は、お茶を点てる「茶筅（ちゃせん）」の世界的な産地で、その茶筅づくりに使う竹を、この時期に屋外で乾燥させる作業なのだそうです。

生駒市の高山地区は、室町時代から約500年物歴史を持つ茶筅の産地で、年間約30万本の茶筅が生産され、日本産の茶筅はほとんどがこの生駒まで生産されたものなのだといいます。

筌生産共同組合も結成され、茶筅の製作体験イベントを開催するなど、その技術や伝統を後世に受け継ごうと活動していますし、生駒市のアンテナショップはお茶筅をもじって「おちやせん」とされるほど、生駒にとっては重要な地場産業となっているのです。

寒干しは質の良い茶筅を作るために竹を調整するのに重要な作業で、数十本の竹が円錐状に産み上げられ、田んぼに設置されて、干されます。

円錐に組み上げられた竹が整然と並べられた光景は美しさすら感じるほど。生駒市の人で茶筅についてあまり知らなかったという人は一度、地元の誇る名産品に目を向けてみてほしいですし、皆さんも奈良・生駒に訪れた際には、茶筅に関する観光などをしてみてもいいのではないでしょうか？


 執筆：街コミNAVI編集部