ゲイにオススメしたい話題の書籍をご紹介したいと思います。

第157回芥川賞受賞の作品「影裏（えいり）」です。選考員のコメントに「性的なもの（ボーイズラブ）が背景にある…」という発言も注目されていました。

作品の主人公は東京から岩手へと移りすみます。岩手という土地には、たった一人しか、心を許せる人物がいませんでした。その人物もお酒好きということで互いに仲良くなり、二人でしょっちゅう遊ぶようになります。 しかし突然、仲の良い相棒は仕事を辞めて音信不通となってしまうのです。主人公は喪失感を覚えながら過ごしますが、相棒はある時また再会し、3月11日を越えて、主人公は相棒のもう一つの顔に触れることになるのです。

こうしてあらすじだけを読んでみると、ただのゲイ物語という感じではありませんよね。

しかし、自然の中にある描写だけではなく、しっかりとゲイ目線の描写が織り交ぜられているんです。ノンケの人間がこの作品を読んでいてもピンと来る人は少ないですが、ゲイがこの作品を読むと、ピンとくるものです。

こうした描写を楽しむという意味でも、一度読んでおくべき作品です。

ゲイ読者を切なくさせる、主人公のゲイ感がしっかりと盛り込まれています。例えば、デートの時などに主人公はおしゃれな簡易テーブルやディレクターズチェア・チタン皿・シェアカップなどのアウトドアグッズを準備します。これもおしゃれな暮らしにストイックなゲイの典型的な発想です。

まだこの作品を読んでないという方は、チェックしてみてくださいね。


 執筆：街コミNAVI編集部