今年7月、国立西洋美術館が世界遺産に登録され、日本の世界遺産は着実に数を増やしていますね。 世界遺産というと、「姫路城」などのように、1つの建物をさすイメージが強いですが 実際には「古都京都の文化財」や、「古都奈良の文化財」など、複数の文化財をひとまとめにして 認定することも多々あります。

2011年に認定された岩手県の「平泉―仏国土（浄土）を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」も そんな複数の遺産からなる世界遺産の1つですが、その「平泉の文化遺産」への追加登録に向けて 一関市厳美町にある骨寺村荘園遺跡「骨寺堂跡」を特定する調査を本格化させているんだそうです。 一関といえば平泉のすぐ隣に位置する地で、奥州平泉の重要な地の1つ。

骨寺村荘園遺跡は奥州藤原氏ゆかりの荘園遺跡であるとともに、伝統的な農村の景観が維持されて いる貴重な遺産で、国指定史跡にも認定されていますが、世界遺産の文化遺産の中には 現在含まれていません。

それはなぜかというと、この地域で実際に見つかった遺構がすべて江戸時代以降のもので 平泉が最も栄えた鎌倉時代ごろまでの文化遺産の遺構が確認されていないからです。

しかし荘園一帯を描いた鎌倉時代後期の絵図には、柱の跡や骨寺堂跡の存在が示されていて 実際に遺構が発見できれば、世界遺産への追加登録も可能だと考えられているというわけです。

現在、一関市教育委員会によって発掘が続けられていて、今年度中は調査範囲を拡大し 遺構の早期発見を目指しています。

世界遺産になるかどうかで観光地としての価値は大きく変わりますし、この発掘調査が一関市の 未来を大きく変えるかも知れません。


 執筆：街コミNAVI編集部