8月が近づき、日本では戦争について考える機会が多くなるこの季節。

戦争資料などを目にすることも増え、平和について考えるいいキッカケになると思います。しかしこれまで目にしていた資料が、実は誤って認識されていたこともあるかもしれません。

1945年6月、岐阜県の各務原ではアメリカ軍により空襲が行われました。各務原には陸軍の各務原飛行場があり、十数回空襲を受けたとされています。

特に被害の大きかったのは6月22日、6月29日、7月12日の3回で、6月22日の空襲を「各務原空襲」とし、各務原の平和の日としています。 この各務原空襲でアメリカ軍が投下した爆弾が爆発した様子を写したとされる史料写真が、応戦する日本軍戦闘機の爆弾だったことが近年分かりました。

この写真について検証したのは、各務原市歴史民俗資料館嘱託委員を務めた郷土歴史家の福手一義さん。

写真はアメリカ軍が各務原飛行場の西側上空で撮影。巨大な閃光が花火のように広がっており、「岐阜空襲誌」などでの複数書物で「B29が投弾した爆弾がさく裂した瞬間」と説明されていました。

福手さんは「戦争を二度としないためにも正確な歴史を引き継ぎたい」と空襲の実態調査を続けているそうです。

戦争はいつ被害者が加害者に変わってしまうか分からない残酷なものでもあります。この爆弾により命を奪われたのが日本人と思っていたのが、実はアメリカ兵だったかもしれません。歴史事実から目をそらさず再認識して正確に伝えていくことが、平和への第一歩になるのではないでしょうか。

（2020年7月31日に書かれたコラムです）


 執筆：街コミNAVI編集部