砂糖の産地と聞いてどんな地域が思い浮かびますか？ダントツの1位は北海道なのですが、やはりサトウキビのイメージが強い沖縄を思い浮かべる人も多いですよね。

国内での砂糖の生産は1位北海道、2位沖縄、3位鹿児島県で、ほぼこの3県で生産されているのです。しかし実は、黒砂糖の産地としてかつて栄えていた地域として熊本県の天草市も有名なんですよ。 天草市佐伊津町では、温暖な気候を生かしたサトウキビ栽培が江戸時代の頃から盛んに行われてきました。

江戸時代に全国的な大災害が発生した影響を受けて地域が困窮していた時代に、前田市右衛門という人物が、村を救うべく、当時高価で貴重な食べ物（薬効）だった「黒砂糖」の製法を学ぶため、鹿児島県に渡ったことがきっかけで黒砂糖の製法が伝わったのだといいます。

その後、天草は砂糖の一大生産地となり、明治初期には最盛期を迎え、政府から表彰を受けるほどに。しかし昭和後期から天草での黒砂糖生産は衰退。現在ではサトウキビ農家はほぼ兼業農家となり、黒砂糖製陶所は1ヶ所になってしまいました。

しかし、3年前にこのままではいけないと考えた地元農家らが「佐伊津黒砂糖組合」を結成し、伝統的な黒砂糖の生産を継承していく活動を開始。現在は少しずつ活動の成果が出てきて、今年もまた毎年恒例の黒砂糖生産がピークを迎えています。

天草では黒砂糖を使ったお菓子などもよく目にすることがあると思いますが、こうした背景があるのですね。

地元の人も旅行などで訪れる人も皆さん一度、天草の黒砂糖を食べてみてください。これからの天草の農家さんたちの頑張りに期待です。


 執筆：街コミNAVI編集部