岩国のある中学校が静かに幕を下ろしました。

それもそのはず、この3月までの在校生は中3の1名だけだったからです。 この1人のための卒業式が行われたのは3月11日、山口県岩国市立美川中（岩国市美川町南桑）でした。 卒業生は中3の竹中くん。1人で生徒会や行事を行ってきたとのことで、少し寂しかったのではないかという気もします。一番の思い出は、「先生や地域の人と話したこと」だと言います。

地域の人というのは、彼の研究である「美川のよさを見つける学習」のために聞き取りを行ったり、岩国の和太鼓に取り組んだりしたときに交流した人たちのことでしょうか。

たしかに彼は学生としては一人きりですが、岩国市美川の住民たち全員の中ですくすく育てられたのだ、と言うことができるでしょう。

その証拠に、1人のための卒業式といっても、参加したのは卒業生だけではなく、かつての卒業生や地域の住民ら約160人です。卒業する竹中さんを見守りつつ、美川中学の最後を見送りました。

卒業証書を手渡した中村浩校長は、「3年間で心身ともに成長し、祭りや小学校との合同運動会に参加し美川を元気づけた。自身をもって送り出します」と式辞を送りました。

地域によっては出生率の低下や人口流出によって過疎化が進んでいます。そんな中、いかに少ない子供たちを育てるかはそれぞれの自治体でこれからも課題となるでしょう。岩国市立美川中学の在り方は、ひとつのモデルケースとなるのではないでしょうか。


 執筆：街コミNAVI編集部